画像出典：ebookjapan
原作:山田鐘人
作画:アベツカサ
感想・レビュー
あらすじ
魔王を倒した勇者一行の“その後”を語る物語。
魔法使いフリーレンはエルフであり、勇者パーティーの他の３人とは生きる時間の長さが違う。
彼女が勇者達と魔王を倒した”後”の世界で生きること、感じることとは・・残された者たちが紡ぐ、葬送と祈りとは・・？
物語は“冒険の終わり”から始まる。 英雄たちの“生き様”を物語る、後日譚ファンタジー！
魔王討伐のその後
見事魔王を討った勇者パーティー一行は王都に凱旋する。
パーティーのメンバーは人間の勇者ヒンメル、僧侶ハイターとドワーフの戦士アイゼン、そしてエルフの魔法使いフリーレン
国民に歓迎され華々しいパレードを終えて、50年に一度の流星群を眺めていると、フリーレンは「もっとキレイに見える場所があるから次のときに案内する」と言う。
次の流星群は50年後・・・勇者達は10年間共に旅をしたが、長寿であるエルフのフリーレンからすれば「たった10年」だった。
もっと知りたかった
勇者達と別れて一人で旅を続けていたフリーレンは、ふと勇者ヒンメルに預けていた荷物を取りに来た。
そこには、変わり果てて老人になった勇者ヒンメルがいた。
それもそのはず。パーティーのメンバーと別れてもう50年が経っていたのだから・・・
フリーレンにとってはたったの50年。それでも人間のヒンメルが老人になるには十分な時間だった。
人の命の短さに驚くフリーレン…僧侶ハイターも戦士アイゼンもすっかり年老いていた。
フリーレンだけが、かつて旅したあの時の姿のままだった。
それでもかつての魔王討伐メンバー全員揃って、凱旋パレードの日に約束した流星群がキレイに見える場所を目指して歩く。
冒険した日々を思い出して、勇者ヒンメルは満足気にその人生を終えた。
葬儀のときに、フリーレンはもっとヒンメルを知ろうとすればよかった、と後悔する。
ヒンメルは何かとフリーレンに構ってきたが、フリーレンは軽くあしらい深く関わろうとはしなかった。
勇者一行の誰より長く生きてきたが、誰よりも情緒が幼かったフリーレンは今までは気ままに一人で旅をしていたが、もっと人と関わり、人を知ろうと決意する。
魔王討伐の後も人生は続く
よくある勇者達がパーティーを結成して苦難を乗り越えて魔王を退治して…という華々しいストーリーとは少し違って、長寿のエルフがかつての仲間達と訪れた街をたどって、人と交流し、年老いた仲間を見送っていく、どこか切なくて不思議な世界観の作品です。
人への関心が薄く感情の乏しいフリーレンが、人との交流を通して少しずつ感情が豊かになっていく描写が素敵です。
長寿なエルフは他の種族とは時間の進み方が全く違って、人間の感覚だと１年くらい旅して帰ってきた、という場合でもエルフだと50年の時間が過ぎてしまう。
別れたあの日と全く同じ姿のフリーレンを残して、かつて旅した仲間が年老いていくのが本当に切ないです・・・
フリーレンがかつての仲間を見送りながら感じることとは？
ヒンメルが死んで始めて「もっと知りたかった」と泣いたフリーレン
人と過ごし、情緒が豊かになって改めて抱くヒンメルへの思いとは・・？
まとめ
いつものラブコメとはちょっとタイプが違う異世界ファンタジー作
どこか切なくて温かくて、不思議に心地いい世界観に没頭してしまいます。
本当にオススメしたい作品です！
